バッタやコオロギで小さな秋を発見!~五感で楽しむ8月【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#35】
プロ・ナチュラリストのささき隊長と一緒に、「園庭いきものマップ」を作りながら、季節の自然を観察しましょう。見つけた生き物や草花を記録していくと、園庭(公園)はやがて“生きた図鑑”に。そして、その発見は、触れてみる、比べてみる、まねしてみるなど、さまざまな自然遊びへと広がっていきます。
8月の終わりごろには、厳しい暑さの中にも少しずつ秋の気配が忍び寄ってきます。園庭や公園にやってくるバッタやコオロギたちの姿も、夏の初めよりぐんと成長していますよ。
ささき隊長/佐々木 洋(プロ・ナチュラリスト)
目次
聞こえるかな? 秋の虫が鳴き始めたよ
ささき隊長 こんにちは、ささき隊長です!
夏の初めごろから園庭や公園で、カマキリやバッタ、コオロギの子どもたちなどを見てきましたね。
「まだ羽が伸びきっていなかった子どもたち」が、8月の上旬ごろからはぐんと成長して、立派な大人になっていきます。

そして、8月も終わりに近づくと、まだ昼間は真夏のように暑いのに、園庭のどこかから「秋の虫」の声が聞こえてくるようになります。
そう、この鳴き声は、コオロギなど「鳴く虫」たちが大人になった証拠なんです。
「秋の虫」は、夏のうちからもう鳴いている
「秋の虫」というと、9月や10月のイメージがありますよね。
昔は「9月の声を聞いてから」という感じでした。
でも近年は、8月の終わりにはもう鳴き始めているんです。
「え、もう秋の虫が鳴いてるの? 早いね!」——そう感じる方も多いと思います。
コオロギの仲間を、少し紹介しましょう。
「コロコロリー」と鳴くのがエンマコオロギ。
コオロギの中でも大型で、声もよく通ります。
「リーッ、リーッ」と鳴くのがツヅレサセコオロギ。
これも園庭によくいるコオロギです。
鳴いているのは、セミと同じように(『夏の主役はやっぱりセミ!<後編>』)オスだけです。
オスがしっかり鳴けるようになったということは、それだけ大人に育ったということなんですね。
そして、あの声は「メスを呼ぶためのラブソング」なんです。
一生懸命歌って、お嫁さんに来てもらおうとしているんですね(笑)。
鳴くのは夕方から——「耳を澄ませてごらん」の声かけを!
秋の虫を子どもたちと楽しむには、ちょっとしたコツがあります。
それは、時間帯。
昼間はまだ暑いので、あまり鳴きません。
よく鳴くのは、夕方からです。
保育園なら、ちょうど子どもたちが帰るころ。
幼稚園なら、ナイトハイクや夕涼み会をやるような時間帯ですね。
その時間に「耳を澄ませてごらん」と声をかけてみると、秋の虫の声に気づきやすくなりますよ。
捕まえて姿を見るのも楽しいし、声だけ聞くのもまた楽しい。
どちらでもいいんです。
園庭に原っぱがあれば、必ずと言っていいほどコオロギがいます。

もし、捕まえることができたら、翅(はね)をチェック!
翅がおしりの先までちゃんと伸びきっていたら、それは立派な大人。
まだおしりがはみ出している子がいるかもしれません。
この時期は大人と子どもが混ざっているんです。
「これはもう大人だね」「こっちはまだ子どもだ」
そんな見分け遊びもできますよ。
8月末は、夏と秋の「のりしろ」
8月の終わりというのは、おもしろい季節なんです。
夏の生き物もまだたくさんいるのに、秋の虫も鳴き始めている。
夏と秋がちょうど重なり合う、いわば「のりしろ」のような時期なんですね。
まだセミも鳴いているし、昼間は汗ばむほど暑い。
でも夕方になると、どこからか涼しい風とともに虫の声が聞こえてくる。
「小さい秋が来たかな?」と、子どもたちと一緒に園庭を歩いてみてください。
毎年、気候が変わっていく昨今。暑さの中に少しずつ訪れる「秋の気配」を探す……そんな楽しみ方がぴったりの時代なんです。
小さい秋の気配をたくさん見つけてくださいね。どれだけ見つけても、飽き(秋)ませんから(笑)。
〈コラム:いきものメガネ〉花壇の一角に「原っぱ」をつくろう
生き物の目になって世界をのぞいてみる〈いきものメガネ〉のコーナーです。
今回は、バッタのメガネをかけてみましょう。
バッタのメガネをかけると、草むらがまるでパラダイスに見えてきます。
なので、秋の虫の声をもっと楽しみたい保育者のみなさんに、ぜひおすすめしたいことがあります。
それは、園庭の一角に「原っぱ」をつくること。

花壇や畑の隅っこでかまいません。
そこだけは種もまかず、草刈りもせず、自然のままにしておくんです。
すると、そこにいろんな生き物が集まってきます。
草が生えるとバッタがやってくる。
バッタが来ると、それを食べにカマキリがやってくる。
さらにそれを狙って鳥もやってくる——。
食物連鎖が、園庭の中で自然に見られるようになるんですよ。
「バッタ原っぱ」「コオロギ原っぱ」なんて名前をつけても楽しいですね。
ただ、ここでひとつ大事なこと。
日本では昔から、雑草を刈らずにおくと「だらしない」「草刈りをサボっている」と見られがちですよね(苦笑)。
だから、この原っぱは花壇や畑としっかり区別して、境目をつくっておくのがコツです。
そして「ここは生き物のための場所です」「わざと自然のままにしています」と札を立てたり、お便りなどで伝えておきましょう。
そうすれば、保護者の方や地域の方にもちゃんと理解してもらえます。
園によっては、こういう場所を「ジャングル」と呼んでいるところもあります。いい呼び名ですよね。
草が一番生い茂って“ジャングルらしく”なるのは、まさに夏。
この夏のうちに一角を残しておけば、秋にはすてきな虫の観察スポットになりますよ。
次回は秋の「鳴く虫」をもっとくわしく。夕暮れの園庭は、
虫たちの「コンサートホール」に早変わりしますよ!
文/神﨑典子 写真/佐々木 洋、神﨑典子、PhotoAC
佐々木 洋(ささき隊長)
ささき ひろし 1961年、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。(財)日本自然保護協会の自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、プロの自然案内人として自然解説活動を展開。子どもたちへの自然観察指導など、自然のおもしろさや大切さを案内している。『どうぶつのないしょ話』『生きものハイウェイ』(ともに雷鳥社)、『新 都市動物たちの事件簿』(時事通信社)など著書多数。

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