五感で楽しむ春夏秋冬~9月の園庭いきものマップから【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#37】
プロ・ナチュラリストのささき隊長と一緒に、「園庭いきものマップ」を作りながら、季節の自然を観察しましょう。見つけた生き物や草花を記録していくと、園庭(公園)はやがて“生きた図鑑”に。そして、その発見は、触れてみる、比べてみる、まねしてみるなど、さまざまな自然遊びへと広がっていきます。
9月の園庭は、まだ夏真っ盛り盛り。でもマップをよく見ると、あちこちに小さな秋が顔を出しています。今回は「大きな夏の中の小さい秋」の見つけ方をお伝えします。
ささき隊長/佐々木 洋(プロ・ナチュラリスト)

目次
大きな夏の中の、小さい秋見つけた!
ささき隊長 こんにちは、ささき隊長です。
9月の園庭いきものマップ、よーく見ていくと、じつに興味深いです。
夏と秋が、1枚の中に同居している
マップの上のほうには、キバナコスモス、アサガオ、ノウゼンカズラ。
これは、どれも夏の顔ですよね。
ところが同じマップに、ヒガンバナ、ムラサキシキブ、カリンの実、ブドウ、そしてイネも並んでいます。
こちらは、まぎれもなく秋の顔。
昔に比べると、今の9月は夏の延長戦。セミもまだ元気に鳴いています。
だから9月は「秋になりました」という月ではないんですね。
大きな夏がまだドンっといすわっていて、その中に小さい秋が、ぽつんぽつんと混じっているような感じなのです。
そんな「小さい秋」を探してみましょう。
子どもたちは、これがとても得意なんですよ。
秋のサインは、耳からやってくる
とはいえ、虫も花も、探さないと見つかりませんよね。
でも、音は向こうからやってきてくれます。
朝夕の少し涼しくなった時間に、コオロギの声が聞こえてきます。
そしてセミの声を、よく聞いてみてください。
7月、8月のリードボーカルは、ミンミンゼミやアブラゼミでした。
それが9月になると、ぐっと減ってきます。
代わりに前に出てくるのが、ツクツクボウシです。
「オーシンツクツク、オーシンツクツク」
園庭や公園で一番よく聞こえるのがこの声になったら、それが秋のサイン。
姿を探さなくていいんです。立ち止まって、耳を澄ませるだけ。
「今聞こえてるセミの声、8月と同じかな?」
そう聞いてみてください。「なんか違う!」と気づく子が、きっといますよ。

ヒグラシは、秋のセミじゃないんです
ここでひとつ、大人がよく間違えていることを。
「カナカナカナ……」と鳴くヒグラシ。あれを秋のセミだと思っている方、とても多いんです。
でも、ヒグラシは真夏のセミです。
鳴くのは、朝もやの立ち込める明け方か、西日が差す夕方。
「季節」ではなく「時間帯」で鳴くセミなんですね。だから日暮らし。

9月の園庭いきものリスト
練馬区立北大泉幼稚園の9月(2025年)の「園庭いきものマップ」に登場したのは、こんな生き物たちです。
見つけたものを書き込むだけでなく、遊んだことや発見したことまで残してありますね。これぞ“生きた図鑑”です。その書き込みも一緒に紹介しますので、ご参考に。

- ヒガンバナ(おひがんのころに さくはな なんだ…)…名前のとおり、お彼岸の時期にぴたりと合わせて咲きます。カレンダーがわりになるくらい正確なんですよ。花が終わってから葉が出るので、花と葉が出会うことのない不思議な植物です。
- カマキリ(まえあしが ながくて かっこいいね)…夏の間に大きく育って、9月にはもう立派な大人。この時期のメスはおなかがふっくらしています。卵を産む準備ですね。
- ヤモリ(すなばで はっけん‼)…家守と書くくらいで、園舎(建物)のまわりで暮らしています。夜行性なので、昼間に見つけられるのはラッキー。指の先が広がっていて、壁にはりつけるんですよ。
- アゲハチョウ(おおきなはねに きれいなもよう♡)/アオスジアゲハ(あおいろで きれいなもよう♡)…2種類ともマップに載っているのが素晴らしい。アオスジアゲハの青い部分には、じつは鱗粉(りんぷん)がほとんどありません。だから透けるような青に見えるんです。
- ウリハムシ(ちいさな ちいさな むし‼ きゅうりに いたよ‼)…よく見つけましたね! 名前のとおりウリの仲間の葉が大好物。オレンジ色の小さな甲虫です。
- ムラサキシキブ(ちいさな むらさきの み♡)…秋を代表する木の実のひとつ。紫式部の名前をもらったくらい、上品な色ですよね。
- カリンの実(おおきくなってきた!)/ブドウ(みんなで た~くさん たべました♡)…実りの秋がしっかり記録されています。カリンは黄色くなるとすごくいい香りがします。この先の変化も追ってみてください。
- イネ(おおきくなってきた‼ おこめが できるかな)…9月は穂が出て、頭(こうべ)を垂れ始めるころ。「おじぎしてきたね」と声をかけてみてください。
- キバナコスモス(かみかざりにしたり、いろみずで あそんだりしたね!)/アサガオ(つるを のばして…)/ノウゼンカズラ(ぶどうだなに オレンジのはな♡)…夏の花たちも、まだまだ現役。遊びに使った記録まで残っているのがいいですね。
次回#38は、9月の主役・ツクツクボウシを深掘りします。
じつはあの声、みんなで合唱しているわけじゃないんですよ――。
文・写真/神﨑典子 写真/神﨑典子、photoAC
佐々木 洋(ささき隊長)
ささき ひろし 1961年、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。(財)日本自然保護協会の自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、プロの自然案内人として自然解説活動を展開。子どもたちへの自然観察指導など、自然のおもしろさや大切さを案内している。『どうぶつのないしょ話』『生きものハイウェイ』(ともに雷鳥社)、『新 都市動物たちの事件簿』(時事通信社)など著書多数。

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