みんな大好き!ネコジャラシに注目!~五感で楽しむ10月【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#44】
プロ・ナチュラリストのささき隊長と一緒に、「園庭いきものマップ」を作りながら、季節の自然を観察しましょう。見つけた生き物や草花を記録していくと、園庭(公園)はやがて“生きた図鑑”に。そして、その発見は、触れてみる、比べてみる、まねしてみるなど、さまざまな自然遊びへと広がっていきます。
今回は、子どもたちが大好きな「ネコジャラシ」に注目します。じつはこの草、本名は「イヌ」なんです⁉
ささき隊長/佐々木 洋(プロ・ナチュラリスト)
目次
本名は「イヌ」、あだ名は「ネコ」。ネコジャラシの正体
ささき隊長 こんにちは、ささき隊長です!
10月の園庭で、ぜひ手に取ってほしいのが「ネコジャラシ」です。
青々として穂がいっぱいついているのは、8月の終わりから9月ごろなので、
この時期になると、ネコジャラシはだいぶ茶色くなってきて、ちょっと枯れたようなものが増えてきます。
でも、これがまた稲穂みたいで、いい感じなんです。
そして何より、子どもたちはネコジャラシが大好き。
顔をくすぐったり、服にくっつけたり、袖の中をはわせたり。10月の園庭でも、遊びの主役になってくれます。
ネコをじゃらすから「ネコジャラシ」。では、本名は?

ところで、この草の本当の名前をご存じですか?
「ネコジャラシ」は、ネコをじゃらして遊べるからついた、いわばあだ名です。
本名は「エノコログサ」といいます。
この「エノコロ」というのは、「イヌコロ」という意味なんです。
つまり、イヌの尻尾みたいだから、エノコログサ。
本名は「イヌ」で、あだ名が「ネコ」。
同じ1本の草なのに、イヌになったりネコになったりするなんて、おもしろいですね。
園庭や野原で見かける「エノコロ御三家」
ひと口にネコジャラシといっても、じつはいろいろな種類があります。
園庭でよく見かけるのは、次の3つ。私は「御三家」と呼んでいます。
・エノコログサ/いわゆる「ネコジャラシ」。みなさんがよく見る、緑色で短めのものです。穂は半分立ったような感じ。
・アキノエノコログサ/穂が長く、アーチ状に垂れ下がるタイプ。名前のとおり、秋に多く見られます。
・キンエノコロ/穂が金色になるもの。これもよく見かけます。
穂が長いもの、短いもの、金色のもの……。「ネコジャラシにもいろいろな種類があるんだね」と、子どもたちと一緒にじっくり観察してみましょう。

とーっても広い意味で、お米の仲間です
ネコジャラシを手に取って、穂をよく見てみてください。
小さなつぶつぶが、びっしりと並んでいますよね。
見てのとおり、これはイネ科の植物。子どもたちには「大きなグループでまとめると、お米と同じ仲間だよ」と伝えてあげていいと思います。
もちろん、私たちが食べるお米とは違いますが、一説には、昔、大飢饉のときに食べたという話も残っているそうです。
そして、このつぶつぶを目当てにやってくるお客さんがいます。
夏から9月ごろまでは、バッタがネコジャラシにたくさん来ています。
でも、穂が黄色っぽく熟してくるこの時期になると、今度はスズメがやってくるんですよ。
ネコジャラシの原っぱに、スズメの群れ。よく見かける光景ですよね。
人間から見ると「小さすぎて食べられない」というくらいの粒ですが、スズメにとってみれば、おにぎりくらいの大きさなんじゃないでしょうか。
そう思って眺めると、原っぱがまるごとスズメの食堂に見えてきます。
そして、そのスズメを狙ってやってきたのは……ネコじゃった、らしい、ですよ(笑)。

〈コラム〉いきものメガネ:ネコにも、イヌにも、キツネにもなる草
さて、ここで「隊長メガネ」をかけて、もう一度ネコジャラシを見てみましょう。
本文でお話ししたとおり、この草は本名が「イヌ」で、あだ名が「ネコ」でした。
ところが、話はそれで終わらないんです。
英語では、ネコジャラシのことを「フォックステール・グラス(Foxtail grass)」と呼びます。
直訳すると、「キツネの尻尾の草」。
……お気づきでしょうか。
たった1本の草に、ネコと、イヌと、キツネ。3匹もの動物がすんでいるんです。
同じ穂を見て、ある人はネコのおもちゃだと思い、ある人はイヌの尻尾だと思い、海の向こうの人はキツネの尻尾だと思った。
草のほうは、何ひとつ変わっていません。変わったのは、見る人のほうです。
これって、すごくおもしろいことだと思いませんか。
だから園庭でネコジャラシを見つけたら、ぜひ子どもたちに聞いてみてください。
「これ、何に見える?」
ネコでも、イヌでも、キツネでもない、思いもよらない答えが返ってくるかもしれませんね。
次回からは11月の自然を観察。気温も落ち着いて、いよいよ秋本番。
園庭は種や木の実でにぎやかになりますよ。お楽しみに!
文/神﨑典子
佐々木 洋(ささき隊長)
ささき ひろし 1961年、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。(財)日本自然保護協会の自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、プロの自然案内人として自然解説活動を展開。子どもたちへの自然観察指導など、自然のおもしろさや大切さを案内している。『どうぶつのないしょ話』『生きものハイウェイ』(ともに雷鳥社)、『新 都市動物たちの事件簿』(時事通信社)など著書多数。

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