５歳児クラスのおたより実例＜３月＞【豊玉保育園のクラスだより】

特集: クラスだより・園だよりの書き方＆実例集

2025.03.07

思いを伝えるテクニック～テーマを絞って「狭く・深く」

紙面の３分の２以上を使って、保育室に「村」が出現した経緯や過程を詳しく説明しています。子どもが発した言葉を多く取り上げ、適宜写真も添えて具体的に記述しているので、読み手が理解しやすいです。

「『もりのかくれんぼう』の遊びで作った森を生かして、『くじらぐみの部屋全部を村にしたい』という子どもたちのアイデア。ある子が『それなら！』と『すてきな三にんぐみ』*の絵本を持ってきて村の風景が描かれたページを見せてくれました。最初は数人の子から始まった村づくりでしたが、そのアイデアが形になっていくと、『それならもっとこうしたら？』『ここにこんなものがあるといい！』とその様子に関心を持ち、自分の意見を伝えたり、得意な分野で加わり一緒に楽しみ始めました。『すてきな村ができてきたね』『みんなで住みたいね』と、少しずつ作り上げられていく空間の中で、みんなで過ごすことに日々喜びや充実感を味わう子どもたちの姿が感じられます」

＊トミー・アンゲラー／作　今江祥智（いまえよしとも）／訳　偕成社

卒園に向けての活動も、子どもたちの具体的な声を引用しながら報告しています。

「カレンダーを見たり、みんなで話したりする中で、卒園式が近づいていることを実感している子どもたち。卒園式ってどんな日だろう？とおはなしの時間にも話し合いました。すると、『さようならするひ』『さみしいけど、小学校で頑張りますって言う日』『ほいくえんにいるみんなにありがとうの気持ちを伝える』などと、お互いの発言を聞きながら一人ひとりが卒園について考える時間となりました。

また、卒園のうたを歌ったり、卒園式で伝えたい言葉をみんなで考える中でも、『さみしくなってきちゃった』と目を潤ませる子の姿に、『私もね、おうちで寂しいって話してるんだ』と共感したり、『あと少しだから、みんなで楽しく過ごしたい』と言葉にしてくれた子に対してみんながうんうん！と頷くなど、ほっこりした時間をみんなで共有することができました」

「寄り添う気持ち」が伝わりやすくなる５つのテクニック【豊玉保育園のクラスだより＃２】

思いを伝えるテクニック～子どもの様子と保育者の解説をセットで

卒園製作の途中経過を報告しています。完成品のお披露目は卒園式当日のお楽しみなので、何を作っているのかまでは書けませんが、どんな意図や思いを込めた活動なのかを交えて製作の様子を記述しています。

「先月から作り始めている卒園製作。ここでも、子どもたちがアイデアを出し合い、思い出の『森』とみんなの『村』をイメージした作品を目指すことになりました。得意の工作や手芸の要素を取り入れ、少しずつ取り組んでいます。一人ひとりが、お家や木々を製作する中でも、一つのものとして完成させていく過程で、みんなで協力して作り上げる面白さを味わっています。『〇〇君と□□くんは仲良しだからお隣さんにしようか』と配置決めを楽しんだり、『もっとお花とか川とか増やしたらすてきな村になりそう』などと、さらにイメージを膨らませ、思いや意見を出し合いながら作ることを楽しんでいます」

豊玉保育園のおたより作成の考え方をまとめた過去の記事もご覧ください。
「おたよりで伝えたいのは『寄り添う』気持ち」【豊玉保育園のクラスだより＃１】
「寄り添う気持ち」が伝わりやすくなる５つのテクニック【豊玉保育園のクラスだより＃２】
エピソードに臨場感が増す４つの小ワザ【豊玉保育園のクラスだより＃３】
月末に慌てない４つの先回り＆時短アイデア【豊玉保育園のクラスだより＃４】

協力／練馬区立豊玉保育園（東京・練馬区）
1961年開園、2021年より社会福祉法人高洲福祉会が運営委託。家庭から離れて生活する保育園の場で、子どもたちが不安なく過ごし、主体的に活動できるように真心のこもった丁寧な保育を行うことを大切にしている。０～５歳児、定員130名。

文／佐藤暢子

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