乳児保育に必要な知識と経験【井桁容子先生に聞く 0・1・2歳児クラス担任の心得 #1】

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非営利団体コドモノミカタ代表理事

井桁容子

かわいい子どもたちと過ごせるのはうれしい!
そんな思いで乳児クラス担当になった方でも、実際に働いてみると難しさを感じる場面があるのではないでしょうか。
乳児と接する保育者には、幼児クラスの担任とは別の知識や心構えも必要です。

井桁容子先生に乳児保育の心得を教えていただくシリーズ、第1回は「乳児保育に必要な知識と経験」です。

(この記事は、『新 幼児と保育』増刊『0・1・2歳児の保育』2019春 に掲載されたものを元に再構成しました)

お話を聞いた人

井桁容子先生
非営利団体コドモノミカタ代表理事。0・1・2歳児の保育施設である東京家政大学ナースリールームにおいて、40年以上の勤務経験を持つ。
「保育者も子どもと一緒に、あせらずゆっくり成長していきましょう」

心得1:知識は本、感覚は現場で先輩から学びましょう

知識をベースに子どもと接すると見えてくるものがある!

乳児期は、生きていく「もと」がつくられる時期。子どもたちはどんどん成長していきますが、その反面、幼児に比べて事故や病気が命にかかわる可能性も高くなります。そのため、園で子どもたちを見守る立場の保育者には医学的な知識も必要です。

眠る、飲む、泣く、遊ぶ……。すべてが子どもの心身の状態を示すサイン。気になること、不安なことはすぐに本などで調べる習慣をつけましょう。正しい知識を身につけたうえで子どもたちに接すると、行動の意味なども見えてくるようになります。

ただし、乳児とのかかわりには「察する」「感じとる」ことも、とても重要です。こうした感覚は、本から学ぶことができないもの。実際に子どもたちと接する経験を積み重ねていくしかありません。まずは、経験豊富な先輩保育者のやり方をよく見ること。そして、困ったときや迷ったときは相談を。先輩の経験値を少しずつ吸収していきましょう。

心得2:「失敗しない人」ではなく「失敗を生かす人」になりましょう

失敗は学ぶチャンスと考えます

不慣れなことに、失敗はつきものです。どんなにがんばっても、失敗をゼロにすることはできません。だから大切なのは、失敗をしないことではなく、失敗を生かすことです。「失敗したときにどうするか」で、その人の値打ちが決まるのです。

失敗を隠さないのはもちろん、失敗の原因を考え、自分なりに解決・防止のための努力をすることが重要です。必要なことは調べたり先輩に聞いたりして、自分に不足している知識や経験をきちんと穴埋めしていきましょう。毎日の経験を意味のあるものにするためには、わからないことを「わからないまま」にしないことが大切なのです。

100の失敗をした人は、100パターンの失敗例を知っている人です。101個目の失敗をする可能性はありますが(笑)、すでに経験ずみで予防・解決策がわかっている失敗が100もある、ということ。失敗は「学ぶチャンス」でもあるのです。

心得3:「経験がない」ことを隠すのはやめましょう

「今できること」を精いっぱいやる!

だれだって最初のうちは、戸惑ったり悩んだりすることが多いものです。「まわりを安心させたい」などの思いから、つい「できるフリ」をしたくなってしまうことがあるかもしれません。でも、どんなにとり繕っても、子どもたちには保育者の不安が丸見え(笑)。ついでに、経験の浅さは保護者にだってわかるものです。だから、できないこともわからないことも、隠そうとがんばる必要はありません。

新任の保育者のがんばりどころは、ただひとつ。子どもと誠実に向き合うことです。子どもをちゃんと見て、一人ひとりが求めているものを「わかろうとする」努力をすることです。「うまくやらなきゃ」などと思う必要はありません。今の自分にできることを一生懸命やれば十分です。

少しぐらい失敗しても焦らず、まずは落ち着いてください。「ヘタクソですが、がんばります!」という思いで向き合えば、子どもだって受け入れてくれますよ。

構成/野口久美子 写真提供/東京家政大学ナースリールーム

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