小学校入学を見越して過ごす、限りある12か月【年長クラス担任の心構え #3】

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年長クラスの保育も、まず子どもたちとの信頼関係を築くことが第一。
その上で 小学校入学を見越して、限りある12か月をどのように過ごせばよいのでしょうか。
百瀬ユカリ先生にお話をうかがいました。

(この記事は、『新 幼児と保育』2020年4/5月号 に掲載されたものを元に再構成しました)

お話

百瀬ユカリ先生
日本女子体育大学子ども運動学科教授。博士(社会福祉学)。著書に『新人保育者物語さくら~保育の仕事がマンガでわかる~』(小学館)など。

一人ひとりが不安なく過ごせる環境構成でスタート

年度が変わると保育室も先生もかわり、子どもたちは新しい環境になります。しかも、年長児は小さい子や先生たちから期待され、注目される特別な存在。安心して慣れていけるような環境構成に気を配ります。

5歳の子どもたちは試したり工夫したりすることが好きなので、それをサポートする環境づくりを意識します。年中クラスの担任から教えてもらった一人ひとりの情報もふまえて、1日も早く、子どもたちと信頼関係を築いていけるようにします。

生活がいつのまにか行事につながっているのが理想

年度当初に行事の見通しを立てることが重要なのはどの年齢でも共通することですが、行事の多い年長クラス担任にとっては特に重要です。園全体の行事に加えて、年長クラスには小学校入学に向けての活動や行事があります。

11月ごろから就学時健診を合図に就学に向けての本格的な準備が始まり、日々の生活も就学を意識したものにかわっていきます。多くの地域で、小学校の給食を食べる会、授業見学などが行われます。学区の小学校の先生や5年生(次年度に6年生になって1年生をお世話してくれる人たち)と子どもたちとの交流も計画に入れておきましょう。

行事の見通しが横軸だとしたら、1日の流れが縦軸になります。行事からさかのぼって保育の計画を立て、日々の保育のどの時間帯に何をしたらいいか、組み込んでいきます。

生活がいつのまにか行事につながっているというのが理想。1年間の見通しがあるからこそできることです。もし行事を中心に保育が回っていくとしたら、それは本来の姿ではありません。

「10の姿」を意識して小学校へつなぐ

年長担任の大きな役割に、就学に向けての準備があります。子どもたちは楽しみ半分、不安半分。それを楽しみにかえるのがクラス担任の役目です。

保育所保育指針などに明記されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」(10の姿)は、こう育ってほしい、という具体的なイメージを示したもの。「ピーマンを育てたら食べられるようになった」「飼育当番を一生懸命やっていた」など、園生活の中で印象に残った姿を頭に浮かべて、その場面が何の育ちにつながっているのかと考えれば、自然と「10の姿」に当てはめられます。それが要録の作成にもつながっていきます。

文/大石裕美 イラスト/オモチャ

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