“コドモのキモチ”に寄り添う絵本【児玉ひろ美のこだま文庫】

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JPIC読書アドバイザー

児玉ひろ美

ここは、みなさんの記憶の隅にある懐かしい1冊や気になりながらも読まないままの1冊、そんな本に再び出会うためのオンライン図書館です。今回は、“コドモのキモチ”にそっと寄り添う絵本を集めました。

児玉ひろ美さん

JPIC読書アドバイザー、台東区立中央図書館非常勤司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。大学にて「児童文化」を担当するなど、幅広く活躍。著書に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。

心の動きを丁寧に描いた絵本

昨今は絵本の魅力が注目され、その読者層は赤ちゃんからお年寄りまで広がっています。ですから、絵本について話をするときは、その対象を定めないと的確に語れなくなってきました。でも、気になるのは内容です。対象を限らず、幅広く読者を喜ばす絵本の多さに比べ、子どもの気持ちに寄り添い、丁寧に心の動きを描く絵本が少ないことが気になります。

昨今は、読み聞かせやイベントなどで絵本が活躍し、いわゆる「ツカエル」絵本を求められることが多いのにも理由があるのでしょう。今回はそんな中で、昨年出版された絵本からコドモのキモチに寄り添っているなぁと、思えた絵本2冊をご紹介。

『にちようびのぼうけん!』

はた こうしろう/作
ほるぷ出版

「すごくながい たびを してきたような だいぼうけんを してきたような」

ある日曜日の朝届いた、謎のミスターXからのぼく宛ての手紙。「きみに とくしゅにんむを あたえよう」。幼いぼくは、もうそれだけでワクワクです。起きてきたお兄ちゃんと一緒に、さあ、公園へ出かけましょう! 幼い主人公の心の動きに沿って物語は進みます。

大きなトラブルや手強い敵はいないのですが、「うちから いちばんちかい こうえんなのに、ぼくは、なんだか すごくながい たびを してきたような だいぼうけんを してきたような」と感じたぼく。平凡な日常=幼い子の生活範囲の中のチョコッとした楽しさを上手に描いた『にちようびのぼうけん!』は、そのまま園生活の中でも『〇ようびのぼうけん』と、いろいろ応用できそう。

お兄ちゃんと一緒に遊びに行く人気シリーズ5作目ですが、実はこのお兄ちゃん、若い女性司書の間で胸キュンの人気男子なのです。

『かんけり』

石川えりこ/作
アリス館

「本気の駆け引き」

公園での遊びは子どもの社会訓練の場です。子ども同士で暗黙のルールがあったり、縄張りがあったり、ときには本気の駆け引きがあったりもしますね。『かんけり』は、そんな子どもながらの緊張感を上手に描いて、昨年度の絵本の中でもダントツの人気です。

今の子どもにはあまりなじみのない遊びなのかもしれません(最初に絵本を見たときは、昭和世代のノスタルジーかと思いました)が、読み聞かせには、5歳児さんたちが真剣な表情で聞き入っていたそうです。そのあと、缶蹴りに発展したかは、残念ながら、聞き忘れました。

6月と7月のおすすめ絵本

テーマ「雨を楽しむ」

『 かさちゃんです。』

0歳から2歳向け

とよた かずひこ/作・絵
童心社

色と音の楽しい絵本です。表紙からお話が始まっていますので、しっかりとタイトルを告げて絵を見せましょう。シンプルに歯切れよく読んでください。

『かさ』

2歳から4歳向け

松野正子/作 原田 治/絵
福音館書店

「あかいかさ あたしのかさ きいろいかさ きみのかさ」。懐かしい! と思う方も多い、ロングセラーの傘の絵本。歌うように楽しく読んで。

『あめかな!』

0歳から2歳向け

U.G.サトー/作・絵
福音館書店

空から「ぽつ」と赤いしずく、青いしずく。さまざまな色と激しくなる雨音。色と音で綴る雨の絵本です。

『あめふりさんぽ』

2歳から4歳向け

江頭路子/作
講談社

「あめふり さんぽ ちゃぷ ちゃぷ ちゃぷ」。雨降りがこんなに楽しいなんて! 透明感のある色彩が、雨降りの自然を美しく描きます。

『どしゃぶり』

4歳から6歳向け

おーなり由子/文 はた こうしろう/絵
講談社

どしゃ降りの雨をこんなに楽しめるのは、子どもの特権なのでしょう。見ているだけでもスカッとして、真似をしたくなります。雨の音を聞きながら読んでもよいですね。

『あかい かさ』

2歳から4歳向け

ロバート・ブライト/作 清水真砂子/訳
ほるぷ出版

私の赤い傘。子いぬが1匹、子ねこが2匹、にわとり3羽…傘は動物たちでいっぱいに。少人数におすすめの小さな絵本。

『あめのひ』

4歳から6歳向け

サム・アッシャー/作・絵 吉上恭太/訳
徳間書店

おじいちゃんは家にいなさいって、いうけれど、ぼくは、雨の中で遊びたいんだ。やがて、雨がやむとそこには……雨と孫の言葉に耳を傾ける素敵なおじいちゃんの物語です。

『あめの ひの えんそく』

異年齢

間瀬なおかた/作・絵
ひさかたチャイルド

今日は遠足なのに、朝から雨です。雨あがるかな? 間瀬さんのシリーズは仕掛けも楽しく大人気。秋のぶどう狩りのお話ですが、行事と雨がぶつかりそうなときにおすすめです。最後の虹がうれしい。

『キムのふしぎなかさのたび』

異年齢

ホーカン・イェンソン/文 カーリン・スレーン/絵 オスターグレン晴子/訳
徳間書店

「そうだ、かさをふねにしちゃおう!」。小さな女の子キムは、買い物をしているママを待つ間にそんなことを思いつきました。キムが傘の船に飛び乗ると、さあ、不思議な旅の始まりです。

『みずたまりちゃん』

異年齢

新井洋行/作
講談社

女の子や、カエルなどが次々に「みずたまりちゃん」に飛び込み、最後には…。遠目が効く参加型の絵本です。キラキラカバーは反射するので、読み聞かせのときは、はずして読みましょう。

『かさもって おむかえ』

異年齢

征矢 清/作 長 新太/絵
福音館書店

女の子は傘を持ち、駅にお父さんをお迎えに行きました。でも、お父さんはなかなか来ません。すると、不思議なネコが現れます。

『新 幼児と保育』2019年6/7月号より

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