3ステップで備える「子どもの健康早わかりシート」~便秘&百日ぜき~

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子どもに起こりがちな体調トラブルに直面したときの対処法を、3ステップでわかりやすく指南。今回は「便秘」と「百日ぜき」を紹介。初期の段階で症状に気付くことで、悪化を未然に防ぎます。

監修

澁谷紀子 先生

総合母子保健センター愛育クリニック 院長兼母子保健科部長。小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。

子どもの便秘

便秘は食欲不振や腹痛などの原因に。悪化すると排便がつらくなるので、早めの対処を!

step1.おもな症状と原因

排便の回数が少なく、排便時に痛みがある

乳幼児の場合、排便の回数が週に2回以下で、便がかたく、排便時に痛むなどの症状があると、「便秘」とみなされます。原因の多くは、体質や食事、生活リズムなど。食事の面では、水分不足や偏食による食物繊維の不足、乳児であれば母乳・ミルクの不足などが考えられます。

不適切なトイレトレーニングのためにトイレでの排泄に抵抗を感じることや、便意をがまんすることがきっかけになるケースもあります。

step2.治療の基本

便秘のサインに気づいたら保護者に伝える

5~7日以上排便がないときや、排便時に苦しそうだったり痛みがあったりする場合は、受診をすすめましょう。家庭でできるケアとしては、浣腸や市販の整腸剤を飲む方法があります。市販の便秘薬は、年齢に応じた体格であれば用量を守って使用してかまいません。

ただし、0歳児の場合はごく少量から始めて様子を見るなど、慎重に与えましょう。健康な便はバナナ状で、排便に時間もかかりません。コロコロした便が少量しか出ないのは、便秘気味であるサインです。

step3.予防のためにできること

トイレに行きやすい環境をつくる

便秘予防のために園で心がけたいのは、まず、子どもが便意をがまんしなくてすむよう、トイレに行きやすい環境をつくることです。排便することは体のために大切で、恥ずかしがる必要がないことを説明するとよいでしょう。

また、日常的にしっかり体を動かして遊ばせ、汗をかいたら十分に水分補給をします。食物繊維を多く含む食品を食べることも有効なので、海藻、芋類、果物、豆類などを食事やおやつに取り入れるのもよい方法です。

便秘対策として園でできること

■トイレに行きやすい環境をつくる
便意をがまんすることも、便秘の原因のひとつ。子どもにがまんさせない工夫を!

■しっかり遊ばせる
体を動かすと腸が刺激されて活発に動くようになるため、便意が起こりやすくなります。

■便の状態をチェック
排便があったかどうかだけでなく、排便時の様子やかかった時間、便の状態も確認します。

■水分補給をこまめに
汗をかきやすい季節は特に、水分不足に注意が必要です。こまめに水分補給を。

便秘対策として家庭でできること

■食物繊維をしっかりとる
食物繊維には腸の動きを活発にし、腸内環境を整える働きがあるため、便秘の予防・改善に有効。

■生活リズムを整える
朝は早めに起きて朝食をとり、朝食後は必ずトイレに行く習慣をつける。

■トイレトレーニングは焦らず
失敗して叱られた、などの経験が排便をがまんする原因となり、便秘を引き起こすことも。

百日ぜき

百日ぜき特有のせきの発作が起こるのが特徴。完治するまでに3か月ほどかかります。

step1.おもな症状と原因

かぜに似た症状のあと、せきの発作が起こる

百日ぜきは、「百日ぜき菌」に感染することによって起こります。せき、鼻水などかぜに似た症状から始まり、徐々にせきが悪化して、激しいせきの発作が起こるようになります。この時期に見られるのが、百日ぜき特有のせき。コンコンと短いせき込みが十数回続いたあと、息を吸い込む際に「ヒューッ」と音がします。その後、少しずつせきが減っていきますが、完全にせきが出なくなるまで3か月近くかかります。

step2.治療の基本

処方された薬は、医師の指示通りに飲みきる

早い段階ではかぜと見分けるのが難しいのですが、せきが激しかったり続いたりするときは小児科を受診しましょう。病院では、抗菌薬が処方されます。確実に除菌するためには、薬を一定の日数使う必要があります。

症状が治まっても自己判断で薬をやめず、医師の指示通りに服用しましょう。原則として、5日間の治療(病院で処方された薬の服用)が終わるまで、または特有のせきが出なくなるまでは出席停止です。

step3.予防のためにできること

四種混合ワクチンで確実に予防を

百日ぜきは、ワクチンで予防することができます。生後3~12か月の間に、3~8週の間隔で四種混合ワクチンを3回、3回めから6か月以上あけて、もう1回接種するのが基本です(1年〜1年半あけるのが標準)。

この期間を過ぎていても、7歳6か月の前日までは「定期接種」として無料(自治体によっては低額)で接種が可能です。百日ぜきは大人がかかると症状が軽く、見過ごされがち。園での流行を防ぐため、保育者もせきが続くときは早めに診察を受けましょう。

百日ぜきの症状の変化

1 かぜのような症状が現れる(カタル期)/1~2週間
せき、鼻水、くしゃみなどが見られ、少しずつせきが激しくなる。

2 特有の発作が起こる(痙咳期)/2~3週間
コンコンと十数回せきが続き、顔が真っ赤になる。その後、息を吸い込むときにヒューッと音がする。

1歳未満だと、呼吸困難や無呼吸の発作につながることも!

3 発作が治まっていく(回復期)/3か月弱
発作が軽くなり、回数も減っていく。

四種混合ワクチン接種のスケジュール

※7歳6か月の前日までに4回めを終わらせられれば、定期接種扱いになる。※2018年1月には、大人も接種可能な三種混合ワクチンが発売されている。

構成/野口久美子 イラスト/河合美波

『新 幼児と保育』2018年6/7月号別冊ふろくより

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