「音楽系の活動が苦手です」【保育マメマメQ&Hints! with 大豆生田啓友先生

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保育マメマメQ&Hints! 保育の悩み、立ち話 with 大豆生田啓友先生
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玉川大学教授

大豆生田啓友

大豆生田 今回の質問は、「音楽系の活動が苦手」です。答えはひとつじゃありません。ぼくの考えるいくつかの対応例をあげます。みんなで対話して、考えていきたいですね。

※リール動画撮影中の様子(写真左は小学館編集スタッフ) 公式Instagramで今回のテーマの動画(約90秒)が見られます。(←文字をタップorクリックしてください)

大豆生田啓友先生

玉川大学教授。保育・子育て支援などが専門。特に保育の質の向上が研究のメインテーマ。著書に『日本が誇る! ていねいな保育』『日本版保育ドキュメンテーションのすすめ』(ともに共著・小学館)、『子どもが中心の「共主体」の保育へ』(監修・小学館)など多数。

保育は、子どもの生活に丸ごとかかわるお仕事。
そして、同僚や保護者との関係も複雑に交ざり合って、
なかなか個人の思ったとおりにはいきません。
「こんな場合、どうしたら?」
そんな現場の保育者が抱える悩みや疑問に対して、
大豆生田啓友先生から、考え方のヒントをいただきました。
これをもとに、仲間とぜひ話し合ってみてください。

「音楽系の活動が苦手です」

Q美

Q美 質問です。音楽系の活動が苦手です。
ピアノも弾けないし、歌も得意じゃありません。「上手な先生に任せて」とか言いますが、みんな、忙しくて頼めません。
そのせいで、ほとんど、音楽系の遊びができてないんですが。
 

マメ先生

得意でなくてもOK

マメ先生:保育者はオールマイティであるべきと言われます。

でも、ぼくは、そう思っていないんです。

だって、人によって個性の違いはあるし、得意・不得意はあって、当然ですよね。

音楽活動も、同じ。みんながみんな上手である必要はないと思います。

もし、ピアノの伴奏をつけたいと思うなら、

ピアノの得意な先生に演奏をスマホで録音させてもらって、それを流すのはどうでしょう?

「子どもに合わせて伴奏」?

Q美 それでもいいんですか?

マメ先生 専門家の中には、「録音した伴奏だと、子どもに合わせられない」と言われる方もいます。

確かにそうなんですよね。 だけど、ぼく自身はそこもあまり気にしなくていいと思ってるんですよ。弾ける方がみな、子どもに合わせられているか、というとそうとは言えないですし。

Q美 自分のペースで弾いている方は、いそうです…。

マメ先生 子どもに合わせて弾くって、かなり高度な技術なんですよ。

言葉をまだ覚えていないころ合いにゆっくり弾くくらいなら、できるかもしれないけれど、子どものキーに合わせて移調する、子どもの声の大きさや呼吸を感じ取って、ペースや音量、弾き方を調整するとか。

音楽家ではない保育の実践者にそれを求めるのは、ちょっと無理がありますよね。

伴奏における共主体

本来、伴奏は、

1 曲(作曲家)の意図

2 先生の「ねらい」や「意図」

3 子どもたちの発達段階や状態

この3つのポイントの共主体で演奏されるのが理想。

でも、スキルが伴っていないと、「子どもをリード
する」という先生の「意図」が先行しがち
(ねらいが、「子どもに豊かな音楽経験を提供する」
となっていても、それは置き去りにされる)。

録音された曲を使ってみる

マメ先生 それに、本来はその曲のイメージも大切にして、弾き方も工夫することが求められるのでしょうが、それについてもどこまでこだわるべきなのか、正解があるわけではありません。

最低条件としては、ひっかからずに弾けること。これができないなら、「子どもの前で弾かないほうがいい」と言われる先生もいます。

こういったことを総合すると、上手な先生の録音や、プロのCDを使っても悪 くないんじゃないでしょうか。

何よりもピアノが弾けない、歌に自信がない、という理由で音楽に触れる機会がなくなることのほうが、ぼくとしてはずっと残念です。

ほかの楽器にチャレンジしたりも

マメ先生 ピアノでなくて、この機会にギターやウクレレを習ってみるのもおすすめです。

意外と手軽ですよ。

保育士試験でも、ピアノだけでなく、アコーディオンやギターでも受験できるようになっています。

やりたいことが自由選択できる園であれば、ほかのクラスの音楽の活動に参加したっていいわけですよね。

あるいは、音楽に触れる時間、楽器の得意な先生と担任を交換したっていいのでは?

「情操教育になり得る生演奏」で歌う機会は、録音のBGMとは別に、ぜひ作ってほしいと思っています。

音楽遊びの枠を広げて

マメ先生 曲としてだけでなく、音を拾って遊ぶのも楽しいですよ。

周囲の音に耳をそばだてて、それをオノマトペにしてみる。

この即興遊びは、いつでもどこででもできます。

あるいは、子どもが何かをたたいたり、はじいたりする活動から、楽器のようなものを作ってみたっていいですよね。

ぼくは音楽が好きだから、「音楽はこうでなければいけない」ではなく、いろんな方法で楽しんでほしいと思っています。

★編集部より
Instagramのリール動画では、大豆生田先生の「ウクレレデビュー!」の様子を紹介してます。よろしければご覧ください。

また、『子どもが中心の「共主体」の保育へ』(小学館)には、「音感受」の実践を広げる吉永早苗先生との座談会記事も掲載しています。そちらも、ぜひ参考にしてください。

今回のマメマメHints!

★この記事は、小学館『新 幼児と保育』公式Instagram(←こちらをタップorクリック!)でリール動画を配信した内容にweb版として加筆・再構成したものです。また、小学館の雑誌『新 幼児と保育』では、ほかのリール動画で配信した内容に加筆・再構成し掲載していますので、どうぞご覧ください。また、このコーナーへの質問、疑問も募集中です。下から投稿できます。

お話/大豆生田啓友(おおまめうだ ひろとも)先生
玉川大学教授。保育・子育て支援などが専門。特に保育の質の向上が研究のメインテーマ。著書に『日本が誇る! ていねいな保育』『日本版保育ドキュメンテーションのすすめ』『子どもが対話する保育「サークルタイム」のすすめ』(ともに共著・小学館)、『子どもが中心の「共主体」の保育へ』(監修・小学館)など多数。

構成・イラスト/おおえだ けいこ

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