子どもの困りごと。「解決してあげたい人」が多くて…【青くんの［保育のお悩み相談室］＃４】

連載: 青くんの［保育のお悩み相談室］

2023.04.30

すぐに「解決」に飛んで行ってしまう保育者に、うーん…

【保育のお悩み】

トラブルが起きるとすぐに飛んで行ってしまう保育者が多い。もう少し子どもに委ねる時間が長くてもいいのかなと思います。子どもたちも、なにかあるととにかく大人を呼ぶ。ダメだとは思わないけれど、たとえば「◯◯ちゃんが廊下を走った！　なんとかして！」みたいなものも出てくると、ちょっと「うーん」と思ってしまいます。

子どもは「解決」を大人に望んでいない

質問者さんのモヤモヤよくわかります。

子どもにトラブルや、悩ましいことが起こったとき、大人はそれを「解決」してあげたいと思いがち。でも子どもは単に「一緒に悩んでほしい」と思っているだけのことも多くあります。質問者さんからすると、あまりに早い介入は、子どもが自分で感じ、子ども同士が間柄を育む余白を埋めてしまっているのではないかと。そして、それはおそらくそのとおりで、子どもがいつしか、大人に答えを依存しないとなにもできない位置に置かれてしまうのです。

自身の考える「有能な保育者」から、階段を２段、下りてみてほしい

！さらに、ぼくならこう考えます

すぐ「解決」に飛んで行ってしまう保育者さんには「階段を２段、下りてもらう必要」があるかもしれません。まず１段目は「有能感のモデルチェンジ」、いま抱いている有能感を変えてもらうことです。解決者ではなく、ともにあることこそ保育者として有能である、というモデルチェンジです。

質問者さんからすると「有能」という言葉をここで使うことに、ちょっと違和感を覚えるかもしれません。まさにそれがもう１段の階段にかかわることなのです。２段目の階段は「有能感の怯（おび）えから下りること」です。

担任としてちゃんとしなくちゃいけない、クラス内でなにかあれば自分が対処しなければいけない。すぐに「解決」に飛んで行ってしまうのは、自分が保育者として「有能でなくてはいけない」という怯えからかも。有能感の怯えを抱いている人に、有能でなくてもいいんですよ、と言ってもすぐには難しい。

「有能な」保育者とは子どもの頂に立つことではなく、むしろ底から支えること。まずはそのように「有能感のモデルチェンジ」を投げかけつつ、有能感の怯えという２段目の階段から下りてくる機会を待ちましょう。

私が私であること、あなたがあなたであることは有能であるかどうかにかかっているのではない、そのことをすでに子どもたちは全面的に認めてくれている、そのことに、きっといつか気づいてくれると思います。

文／青山誠　イラスト／ナガタヨシコ

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