メグホソキさん「クールな5歳」【表紙絵本館】

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『新 幼児と保育』2020年4/5月号 表紙

『新 幼児と保育』は、毎号絵本作家さんの描きおろしの絵が表紙となっています。表紙を飾った絵本作家さんの幼年期のエッセイを紹介していきます。今回は、メグホソキさんです。

「クールな5歳」

5歳ごろ。祖父の家の庭で撮った写真です。母の手製のかぎ編みのハンドバッグを持っています。

思わぬことで、一昨年、50年ぶりに幼稚園のときの友達と再会しました。再会した4人の中には、当然、お孫さんもいるという友もいたけれど、やっぱり、みな、それぞれに幼いときの印象を持っていて、「あぁ、おもしろいものだなぁ」と思いました。

友が言うには「めぐちゃんはクールだった」って。自分ではそんな自覚はなかったけれど、まぁ、盛り上がりに欠ける子どもだったことには間違いないと思う。みんなで一緒に何かを楽しむということにはあまり関心がなく、何となくぼんやりした子どもだったのでは…と。

大人になった自分の目から見てみれば「あぁ、やれやれ…」といった思いにもなるけれど、子どもながらに、みんなとの違和感を覚えながらも、そんな中でそれなりに自分の居場所を持っていたと感じるのです。他人のペースに合わせられない自分をこんなころから早々とあきらめていた、というか、努力する辛抱強さを持ち合わせていなかった、というか。これは、もう、今でもまったく変わらない私の本質だ。

「マイペース=協調性の欠如」ではあるけれど、それをもっての絵を描くことを仕事にした今の自分の人生でもある。大人がイメージする「未来に夢をもって、毎日を精いっぱい、元気に生きている子ども」とは程遠い子どもではあったけれど、つらい子ども時代ではなかった、と思う。それは、母に「早く! 早く!」とか「どうしてできないの!」とか急かされた記憶がないからではないかしら…と思う。でも、その偉大な(笑)母も、もう、この世にはいないのである。

メグホソキ

埼玉県生まれ。イラストレーター、アートディレクターの藤枝リュウジ氏に師事し、フリーとなる。雑誌『オズマガジン』の表紙イラストを長年担当するなど、主に女性誌、広告の分野で活躍。主な作品は『La Variation』( スターツ出版)、『とくべつな毎日』(晶文社)、『ローズとアイリス』(文溪堂)、『たろうとはなのおべんとう』(学研プラス)など。東京都在住。

『新 幼児と保育』2020年4/5月号より

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