”見つける楽しさ”がいっぱいの絵本【児玉ひろ美の注目本棚#9】

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JPIC読書アドバイザー

児玉ひろ美

最近出版された絵本を中心に、子どもと一緒に読んでほしい注目作品をピックアップ。今回のテーマは

「かくれんぼ」です。

児玉ひろ美さん

JPIC読書アドバイザー、東京・台東区立中央図書館非常勤司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。大学にて「児童文化」を担当するなど、幅広く活躍。著書に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。

森の中で動物たちを見つける楽しさ

子どもの大好きな遊びのひとつである「かくれんぼ」。絵本の世界でも、かくれんぼをテーマにした絵本はたくさんあって、試しに「かくれんぼ えほん」で図書館のデータ検索をすると、私が勤務している公立図書館では227件、国立国会図書館国際子ども図書館では259件がヒットしました。すごい数ですね。今回は今年6月に出版されたばかりの「かくれんぼ」の絵本2冊をご紹介。2冊とも見つける楽しみに満ちた作品ですが、まったくタイプが違いますよ。

もりの かくれんぼ どこかな どこかな、どうぶつ 100ぴき』

フィリップ・ジャルベール/作 ふしみ みさを/訳

小学館

深い深い森の中、遊びに行ったまま帰らないリスの子を心配し、お母さんとお父さんは森へ探しに出かけます。「どこかな? どこかな?」。リスの子はどこに行ったのでしょう? さあ、私たちも一緒に探しに行きましょう。

森にはいろんな動物の親子がいますが、ほかにも、あちこちに動物たちが隠れています。なかには、普段は森にいないような動物たちもいて、とても上手に隠れています。リスの子と一緒に動物たちも見つけてみましょう。

原作はフランスで出版。縦35センチの大きく美しいアートな絵本です。緻密なペン画で描かれた森の中に、100匹もの動物たちが隠れています。巻末見返し部分には、ちゃんとその答えも用意されています。

読み聞かせ〈基本情報とポイント〉

読み聞かせるなら…

  • 対象:3歳児~
  • 時間☆:約5分半
  • ポイント:最初はいつもどおりに読み聞かせをしましょう。表紙裏(見返し部分)から物語は始まっていますので丁寧に開いてください。動物探しは読み終えた後にしまします。ひとりでじっくり探したい子どものためにも、絵本は常に子どもの手の届く場所に。

☆時間は表紙から裏表紙を経て、表紙まで読むのにかかる時間。

街並みで妖怪たちがかくれんぼ

こちらのかくれんぼでは、妖怪たちが隠れています。

『かくれんぼ』

尾崎玄一郎 尾崎由紀奈/作・絵
ひさかたチャイルド

思いっきりレトロで懐かしい街並みで、妖怪たちが、かくれんぼ。「もう いい かい」「まーだだよ」「もう いい かい」「もう いいよ」「どこかな どこかな 」。わかるかな?  妖怪たちは、ちょっと不思議でユーモラスです。からかささん、あずきあらいさん、かっぱさん、ろくろっくびさん、おおにゅうどうさん、そして最後はあまのじゃくさん。みんな街並みに上手に隠れてはいますが、鬼は見逃しません。

「みっけ」。子どもたちと一緒に鬼役になりながら読みすすめてください。ところで鬼役の女の子は…何の妖怪でしょう? どうぞ絵本を手に取り確かめてみてください。

読み聞かせ〈基本情報とポイント〉

読み聞かせるなら…

  • 対象:3歳児~
  • 時間☆:3分
  • ポイント:読み聞かせをしながら、参加型で妖怪を見つけてみてください。なかには探せない子もいます。見つけられないまま次のページに進むのは不本意でしょう。ページを繰る直前に「ここね」と指をさしてあげましょう。

☆時間は表紙から裏表紙を経て、表紙まで読むのにかかる時間。

イラスト/小泉直子

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