分け合ううれしさを感じる絵本【児玉ひろ美の注目本棚#7】
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- 児玉ひろ美の絵本ガイド

最近出版された絵本を中心に、子どもと一緒に読んでほしい注目作品をピックアップ。今回は、楽しい気持ちやうれしい気持ちを、だれかと分け合いたくなる絵本をご紹介。
児玉ひろ美さん
JPIC読書アドバイザー、東京・台東区立中央図書館非常勤司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。大学にて「児童文化」を担当するなど、幅広く活躍。著書に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。
目次
おいしい、うれしいを半分ずつ
「はんぶんこ」。なんて楽しく、やさしい言葉なのでしょう! そこには「分け与える」というような上下の関係ではなく、対等な関係の存在を感じることができます。そのうえ、「はんぶんこ」は分け合ったもの(うれしさや楽しさ、ときには美しさや強さまでも)が、半分になるのではなく、分け合うことで倍増するような気がするから不思議です。
『はんぶんこ』
杜 今日子/作
福音館書店

「まあるい あなの ドーナッツ」「はんぶんこ」、次々に子どもたちの好きな食べ物が続きます。そのどれもを「はんぶんこ」にして「いっしょに たべよう いただきます」。子どもたちは、思わず手が出て、一緒に「いただきます!」。また、「はんぶんこ」で食べ物の形が変わることにも、興味津々。なかには「ちがう!」と言って、ページを戻させる子もいたりして、食べ物への関心は本当に強いですね。読み終えたあとは半分ごっこが始まりそう!
読み聞かせ〈基本情報とポイント〉

読み聞かせるなら…
- 対象:0歳児~
- 時間☆:2分
- ポイント:絵をしっかり見せ、会話をするように読んでください。子どもたちが食べに来たときは「はい、どうぞ」と配って一緒に分けっこして食べてください。そうなると、読む時間は3倍くらいかかりそうですね。
☆時間は表紙から裏表紙を経て、表紙まで読むのにかかる時間。
分け合って広がる、幸せな気持ち
プレゼントに結んであった赤いリボン。 女の子は「りぼん ちょうだい」ともらい受けました。そして、お人形、あひる、猫 、ネズミ、かえるへと、次々にリボンを分け与えます。
『りぼん ちょうだい』
かんざわ としこ/文 ましま せつこ/絵
こぐま社

次々に「りぼん ちょうだい」と言われて、分ければ分けるほど、女の子の顔は なんだかとても満足げ。 大事なリボンを分け与えることは、大好きな動物たちとその喜びをシェアすること。とてもうれしいことなのですね。
読み聞かせ〈基本情報とポイント〉

読み聞かせるなら…
- 対象:3歳児~
- 時間☆:1分30秒
- ポイント:絵をたっぷり見せ、子どもなりに、この先どうなるんだろう? と考える間(ま)をとってください。あとは素直に、リズミカルに読むだけでOK。短いお話ですが、満足感を得られる作品です。
☆時間は表紙から裏表紙を経て、表紙まで読むのにかかる時間。
イラスト/小泉直子
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